節税

2013年11月30日 土曜日

特別償却 or 税額控除

金額の大きい設備投資をする場合には、特別控除 or 税額控除が適用できるかもしれません。
どのような違いがあるのでしょうか?



特別償却とは?

2年目以降の減価償却費を1年目に先取りしようという制度であり、いわゆる減価償却の前倒しです。
そのため、特別償却を行った1年目は利益が圧縮されることにより節税はできますが、2年目以降は逆に減価償却費が減少するため税額が増加する可能性があります。
よって課税の先延ばしといえます。



税額控除とは?

算出税額から投資額の一定割合を控除してくれる制度です。
特別償却にように、2年目以降の減価償却費が減少する訳ではありませんので、課税の先延ばしではなく、永久的な節税効果があります。



ポイントは?

通常は、1年目のことだけを考えると、特別償却のほうが節税額は大きくなります。
長期的に考えると、税額控除のほうが節税額は大きくなります。
ただし、どちらを選択すべきかは Case By Case です。



注意点は?

① 毎年のように税制改正があり適用要件が複雑です。
② 特別償却と税額控除は併用できません。どちらかを選択することになります。
③ 中古資産には適用できません。新品を購入したときのみ適用できます。
④ 決算日までに購入しただけでは適用がありません。実際に事業に使っていることが必要です。



【具体例】

特別償却と税額控除のどちらのほうが今期の税金が安いでしょうか?
当初の利益を1,000万円とします
決算月に対象資産500万円を購入しました(耐用年数:10年、定率法)
利益に対して40%の税金がかかるものとします

A  特別償却を選択した場合
   ①  特別償却費:5,000,000円×30%=1,500,000円
   ②  普通償却費:5,000,000円×0.334×1/12=139,166円
   ③  償却費合計:①+②=1,639,166円
   ④  利益:10,000,000円-③=8,360,834円
   ⑤  税額:④×40%=3,344,300円

B  税額控除を選択した場合
  ①  普通償却費:5,000,000円×0.334×1/12=139,166円
  ②  利益:10,000,000円-①=9,860,834円
  ③  控除前税額:②×40%=3,944,300円
  ④  税額控除額:5,000,000円×7%=350,000円
  ⑤  控除後税額:3,944,300円-④=3,594,300円

今期だけを見ると、Aの特別償却のほうが税金が25万円ほど安いです。
ただし、来期以降はBの税額控除のほうが税金が安くなっていきます。



 大阪・北九州・鳥取で税理士をお探しなら、
 税理士法人サクセス・サポートへ

投稿者 税理士法人サクセス・サポート | 記事URL

2013年11月24日 日曜日

青色申告とは?

青色申告とは、納税者に正しい申告を行わせるため、記帳習慣の確立を目的とした制度のことです。
一定の帳簿を備えて正確な記帳をする場合には、税務上のメリットを受けることができます。
いわゆるアメとムチの制度です。
一方で、青色申告以外の確定申告を、一般に白色申告といいます。
では、青色申告のメリットには、主にどのようなものがあるのでしょうか?



1.法人・個人事業者共通のメリット

①  少額減価償却資産の損金算入
 30万円未満のものは、取得年において全額損金(必要経費)となります。

②  特別償却
 一定の減価償却資産を購入した場合には、通常よりも多めに減価償却費を計上できます。

③  税額控除
 一定の減価償却資産を購入した場合には、税額を控除することができます。



2.法人のみのメリット

①  欠損金の繰越控除

 損失が出た場合には、翌年以降9年間繰り越すことができます。



3.個人事業者のみのメリット

① 青色事業専従者給与
 同一生計親族に対して支払う給与は原則として経費に算入できませんが、青色事業専従者して申請することで、経費に算入できます。

② 青色申告特別控除
 最高で65万円を所得から控除できます。

③ 純損失の繰越控除
 損失が出た場合には、翌年以降3年間繰り越すことができます。



 大阪・北九州・鳥取で税理士をお探しなら、
 税理士法人サクセス・サポートへ

投稿者 税理士法人サクセス・サポート | 記事URL

2013年11月13日 水曜日

経営セーフティ共済の活用

経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)は、取引先が倒産し、売掛債権等が回収困難になった場合に、借入を受けることができる共済制度です。
ただし、単純に節税対策として活用されるケースが多いです。



1.掛金の節税効果
掛金は毎月5千円~20万円の範囲(5千円単位)で自由に設定でき、掛金総額が800万円になるまで積み立てることができます。
また、掛金は1年分を前納することもできます。
納付した掛金は、税法上損金(法人)または必要経費(個人事業者)に算入できます。



2.解約手当金について
任意に解約することによって、解約手当金を受け取ることができます。
受け取った解約手当金は、税法上益金(法人)または収入(個人事業者)になります。
そのため、課税の繰り延べ(税金の後払い)効果があります。
儲かっているときに掛金を納付して節税し、業績が苦しい時に解約して、資金繰りに回すことができます。

掛金納付月数 1か月~
11か月
12か月~
23か月
24か月~
29か月
30か月~
35か月
 36か月~
39か月
40か月~
解約返戻率 0% 80% 85% 90% 95% 100%



3.借入について
・取引先が倒産し、売掛債権等が回収困難になった場合に、で借入を受けることができます。
・無担保・無保証人
・無利子ですが、借入金の1/10相当額が積み立てられた掛金総額から取り崩されます。
・借入金額は、「回収困難となった売掛債権等の金額」と「掛金総額の10倍相当額(最高8,000万円)」のいずれか少ない金額
・返済期間は借入金額に応じて5年~7年



4.その他のメリット
・国が全額出資している(独)中小企業基盤整備機構が運営しているため、比較的安心・確実な共済制度です。
・上記3以外のケースでも、解約手当金の範囲内で借入を受けられます(無担保・無保証人)。



5.注意点
資本金等の額または従業員数が一定以下の個人事業主・会社(引き続き1年以上事業を行っている方)でないと加入できません。
その他の細かい点は、(独)中小企業基盤整備機構のホームページ等でご確認ください。



 大阪・北九州・鳥取で税理士をお探しなら、
 税理士法人サクセス・サポートへ

投稿者 税理士法人サクセス・サポート | 記事URL

2013年11月 7日 木曜日

出張旅費規程の活用

出張の多い会社であれば、「出張旅費規程」を作成することによって、合法的に節税を図ることができます。



1.出張旅費規程を作成して、出張手当を支給しよう

 出張に行くと、交通費や宿泊費以外に外食費など社内にいるよりも多くのお金がかかり、体力的にも疲れるものです。
 そこでよくあるのが「営業手当」を給料に上乗せして支給するのですが、これだともらった個人に対して、所得税・住民税がかかってしまいます。
 そこで、「出張旅費規程」を作成して、出張した人に対して「出張手当」を支給します。
 出張手当の具体的な中身は「交通費」「宿泊費」「日当」があります。



2.払う会社も、もらう個人もお得

 出張の際の交通費や宿泊費は実費精算が基本ですが、例えば、社長の宿泊費を1万円というように出張旅費規程で決めた場合には、実費精算ではなく規定に基づく支給が認められます
 会社が出張手当を払った場合には、その全額が会社の経費となり、消費税の計算上も控除することができます。
 また、もらった側の個人については所得税・住民税が非課税となります。

 【具体例】 社長が大阪⇒東京出張 1泊2日 新幹線を利用 
 ■ 金券ショップで往復26,000円の新幹線チケット(指定席)を購入。
 ■ 1泊5,000円のビジネスホテルに宿泊。
 ■ 出張旅費規定では、社長はグリーン車を使用した場合の正規料金(新大阪~東京で37,380円)、宿泊費は1泊につき1万円、その他に日当を1日につき1万円支給する旨が規定されている。

  出張旅費規定がない場合
=実費精算
出張旅費規程を作成した場合
 会社の
 経費
 交通費 26,000円
 宿泊費 5,000円
 合計 31,000円
 交通費 37,380円
 宿泊費 10,000円
 日当 20,000円
 合計 67,380円
 個人の
 儲け
 0円  67,380円-31,000円-0円(税金)
 =36,380円
    
 もらう側の個人は交通費、宿泊費、出張先での外食費を節約することによって、無税で浮いた差額を受け取ることができます。
 また、払う側の会社も実費以上に経費を落とすことができます。



3.出張旅費規程のポイント

 ■ 役員と従業員の間で金額のバランスが保たれている。
 ■ 世間相場と比較して、妥当な金額である。
 ■ 出張から帰ってきたら「出張旅費精算書」を作成し、実費精算でなくても領収書を添付して、カラ出張でないことを、税務署に対して説明できるようにしておきましょう。


 
 
 大阪・北九州・鳥取で税理士をお探しなら、
 税理士法人サクセス・サポートへ

投稿者 税理士法人サクセス・サポート | 記事URL

2013年11月 6日 水曜日

給料か? 外交員報酬か?

営業マンに対して歩合制の外交員契約をしている会社はたくさんありますが、その基準は非常に曖昧なものです。
実質的に社員なのか?外交員なのか?微妙なケースが散見され、税務調査では実質的に給料と判断されることも少なくありません。



1.消費税の違い

給料は不課税(消費税の対象外)であるのに対して、外交員報酬は課税仕入(消費税の対象)となるため、本則課税の場合には、外交員報酬は仕入税額控除(売上に係る消費税から差引くこと)ができますが、給料であれば、仕入税額控除ができません。
そのため、同じ金額を支払っていても税務署に払う消費税額が変わってきます。もちろん外交員報酬のほうが払う税金は安く済みます。
また、外交員報酬であれば、社会保険料の負担が生じません。



2.天引きする源泉所得税の違い

給料であれば、源泉徴収税額表を見ながら、甲欄乙欄の違い・社保控除後の給料額・扶養親族等の数によって源泉所得税の金額が決まります。
それに対して、外交員報酬は(報酬額-12万円)×10.21%で計算します。



3.もらう側は?

  給 料 外交員報酬
 確定申告
 の要否
 年末調整があるため
 確定申告する必要がない
 確定申告が必要であり、
 手間がかかる
 消費税
 の納付
 必要なし  報酬年額が1,000万円超
 だと2年後に納付が必要
 自腹の
 営業経費
 税金計算の際に考慮されない  税金計算の際に必要経費
 として控除
できる


 
4.給料と外交員報酬の線引きは?
下の図表を参考に総合的に判断されることになります。

給料  外交員報酬
 雇用契約に基づいている  外交員契約に基づいている
 営業備品・経費の支給を受けている  営業備品・経費の支給を受けていなく、自腹である
 会社の指揮監督下に入っている  会社の指揮監督下に入っていない
 固定給部分がある  固定給部分がなく、業績によって金額が変わる
 昇給や賞与がある  昇給や賞与のようなものはない
 


 
  大阪・北九州・鳥取で税理士をお探しなら、
  税理士法人サクセス・サポートへ

投稿者 税理士法人サクセス・サポート | 記事URL